こんにちは薬剤師の齊藤です。
今回お話するテーマは次の通りです。
NMNとはいったいなにか?
- NMNとは、エイジングケアを期待して研究されている成分。
- NMNは食品からはとても摂取しきれない。
前半部分はNMNについて解説、後半部分はNMNの摂り方について話していきます。
NMNとは、エイジングケアを期待して研究されている成分です。
近年は歴史的に前例のない世界的な高齢化傾向にあり、加齢に伴う健康面での問題を解決していくために、NMNは比較的手ごろな価格で貢献できるのではないかと期待され研究されています。
NMNがエイジングケアで注目されているのは
『NMN』とは、簡単に言ってしまうと、筋肉や内臓など人の体を動かす、保つために必要なエネルギーなどを生み出す源となる成分です。
通常NMNは、「ナイアシン」というビタミンB3をもとに体の中で作られ、その後「NAD」という補酵素となって体内で必要なエネルギーを生み出す手助けをします。
※Age-associated changes in oxidative stress and NAD+ metabolism in human tissueより改変
しかし、年齢を重ねるのにつれて体内でのこの生産工程が遅くなってしまい、うまくNADを作り出せず、必要なエネルギーを生産できなくなってしまいます。
体内のNAD量が下がってしまうと、糖や脂質などのエネルギー源を思うように必要なエネルギーに変換できず、エネルギー源が有り余ってしまうのです。このNADを増やす手段の一つとして、『NMN』が注目されているのです。
NMNを取ることでNADの量は増えるのか?
先ほどもいいましたが、通常、必要なエネルギー生産を助ける「NAD」はビタミンB3(ナイアシン)をもとに私たちの体の中で作られます。
ビタミンB3は体の中で一度NMNに変換され、その後NADとなります。
しかし、年齢を重ねるにつれて、変換される酵素の働きが悪くなり、ビタミンB3からNMNへと変換する効率が悪くなってしまうのです。
そこでビタミンB3を補給するのではなく、一歩前段階のNMNを補給することで体内のNADの量を増やせるとわかっています。
人の体は、摂取したエネルギーをそのまま使えるわけではなく、利用できるエネルギーへと変換させて消費します。
NDAをそのまま取ることはできないの?
NDAは分子量が大きい(かたまりが大きい)ため、吸収することが難しいと考えられています。
ですので、NDAそのものではなく、吸収できる前の形の成分を摂取することが良いと言われているのです。
体内のエネルギーが不足してしまうと
- エネルギーへと変換できなかったエネルギー源(3大栄養素)などは、余ってしまい蓄積され、一部排泄されてしまいます。
- 身体のいろいろな働き・機能が悪くなってしまい、若いころに感じ得なかった体の違和感を感じるようになります。
NMNは食品からは摂取できない。こんなに食べられません…
NMNのサプリメントは高価なものも多く、可能であれば自然に食品からとりたいものです。
実際に食品から摂取することは可能なのでしょうか?
NMNが含まれる食品はこんな感じ
食材100gあたりに含まれているおおよそのNMN量はこのような感じです。
食材 | NMN[mg/100g(食品)] |
---|---|
枝豆 | 1.88mg |
ブロッコリー | 1.12mg |
アボカド | 1.60mg |
トマト | 0.30mg |
キャベツ | 0.90mg |
きのこ | 0.1mg |
牛肉(生) | 0.42mg |
えび | 0.22mg |
NMNは天然のさまざまな食品にも存在していますが、その量は極わずかとなっております。
通常の食生活で人が摂取するNMNの量は2mg程度と言われており、現在までの研究等で用いられている一般的なNMNの摂取量は1日250mgの様です。 これをもとに換算すると、NMNを摂取するためには、1日に125倍の食事をしなくてはならないことになります。
普通の食生活において、この量を摂取するのは難しそうです。
まとめ
NMNは体内でエネルギーを作り出す働きを持つNADを作るため、NADを増やすことで利用できるエネルギー量が増え、活力がみなぎります。 NMNは体内で利用するエネルギーを作るのに必要なものと覚えておきましょう。
余談になりますが、人間は寝ているときもたくさんのエネルギーを人は使っているそうです。 エネルギーが不足してしまうと本能的に何か食べ物を求め目覚めてしまうのかもしれません。
参考文献
・Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice. Cell Metab. 2016;24(6):795-806.
・Age-associated changes in oxidative stress and NAD+ metabolism in human tissue.
・Nicotinamide mononucleotide increases muscle insulin sensitivity in prediabetic women.