花粉症がビタミンDサプリメントの摂取で改善するのは嘘?本当?

花粉症がビタミンDサプリメントの摂取で改善するのは嘘?本当?

花粉症の改善にビタミンDが役に立つとよく聞きますが、今回はその真偽について薬剤師の斉藤さんにお話をうかがい、ビタミンDの花粉症に対する効果や摂取量、副作用についてわかりやすく説明していきます。

花粉症がビタミンD摂取で改善するは嘘?本当?

花粉症は、免疫システムの過剰反応で起こります。

そこで、体内の免疫力を高めたり、バランスを調整するビタミンDの摂取で花粉症が改善されると言われていますが、これは本当でしょうか?

ビタミンDは免疫力向上とアレルギー症状改善に効果あり

ビタミンDは、抗菌ペプチドを作らせ、バリア機能を高める働きがあることから、免疫力を向上させます。

 

ビタミンDと健康に関する研究論文は下記のように多く発表されています。

 

ー花粉症の児童にビタミンDを投与したところ症状が大幅に軽減(*1)

 

ービタミンD欠乏を改善したところアレルギー性鼻炎の軽減やアトピー性皮膚炎が緩和(*2)

 

ービタミンD不足妊婦が不足していない妊婦に比べてアレルギー症状を発現するリスクが高い(*3)


さらに、花粉症には腸内環境の乱れも影響すると言われていますが、ビタミン Dは腸内細菌の多様性を支え、腸内環境を良好にしてくれます(*4)。

免疫の状態をより寛容な方へと調整し、腸内からも改善をはかっていくことから、「花粉症がビタミンD摂取で改善する」という説は本当だと考えています。

 

*1 Arch Med Sci. 2018 Jan; 14(1): 122–131.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5778420/

*2 Nutrients. 2022 Oct; 14(19): 3947.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9571357/

*3 環境省「ビタミンDと欠乏とアレルギーの関連」

https://www.env.go.jp/chemi/ceh/adj_020O.pdf

*4Nature communications. 2020 11 26;11(1);5997

https://www.nature.com/articles/s41467-020-19793-8

現代人はビタミンD が足りていない

免疫に関する大切な栄養素である「ビタミンD」ですが、現代人の98%が不足状態にある(*5)と言われています。

 

理由①

ビタミンDは、日光を浴びることで体内で合成されますが、近年は紫外線を避ける傾向があり、以前に比べ体内でつくられていないこと。

 

理由②

ビタミンDが多く含まれる魚介類を食べる機会が減ったこと。

 

また、2012年に発売されTVでも紹介され話題となった『サーファーに花粉症はいない』(小学館)で、日本機能性医学研究所所長の斎藤糧三医師がビタミンDの欠乏が花粉症の一因と解説していましたね。

10~50代の45%の人がスギ花粉症(*6)という現状には、ビタミンD欠乏も大きく関わっているかもしれません。


*5  Miyamoto H, et al. J Nutr. 2023 Apr;153(4):1253-1264.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36806449/

*6 環境省「花粉症環境保健 マニュアル 2022」

https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf

ビタミンD不足を知るには「血液検査」がおすすめ!

自分のビタミンDが足りているかを知る方法は、血液検査が一般的です。

 

「25ヒドロキシ(OH)ビタミンD」という項目が判定指針となり、この値が30ng/mL以上であれば適正値20~30ng/mLで不足20ng/mL未満が欠乏となります。

 

ビタミンDの欠乏はインフルエンザ発症率を上げる、コロナの重症化に繋がる。

逆に38ng/mL以上で大幅に発症率が下がるという研究結果もあります(*7 *8)。

ご自身の健康のために、一度は血液検査を受けてみるのはいかがでしょうか。


*7 Nutrients. 2020 Sep; 12(9): 2879.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7551809/

 *8 Nutrients. 2020 Apr; 12(4): 988.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7231123/

花粉症改善に必要なビタミンDは4000IU

花粉症改善に必要なビタミンDは4000IU(100μg)が推奨されています。

4000IUのビタミンDでアレルギー性鼻炎を危険因子とする喘息が改善された研究(*7)のほか、蕁麻疹の改善(*8)、前述した斎藤糧三医師が自ら実践して著書に記している量が4000IUであることなどが根拠となっていると考えられます。

 

日本人の成人が1日に摂取するビタミンDの目安は約220IU(5.5μg)(*9)ですので、その数値にかなりの開きがあることがわかります。

*7 Clin Exp Allergy. 2015 Jan; 45(1): 114–125.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4369152/

*8 Ann Allergy Asthma Immunol. 2014 Apr;112(4):376-82.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24507460/

*9   厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

1日4,000IU必要な理由

日本人の1日のビタミン摂取量は約220IU(5.5μg)ですが、成人では少なくとも1,500-2,000 IU (37.5-50μg)/日子どもと青少年では1,000 IU(25μg)/日が必要です。

これは2011年に米国内分泌学会が発表した、血液中のビタミンD量を30ng/mL以上を保つために必要な数値です(*10)

 

ビタミンDを豊富に含むのは、鮭などの魚介類、干ししい竹など限られた食材なので、毎日食事から摂るのはなかなか大変です。サプリメントなどの活用がおすすめです。

 

また、ビタミンDの体内量を増やすには2-3ヶ月かかる(*11)とされています。アレルギー予防のためには早めに摂取をはじめましょう。

 

*10 NCI/Office of dietary suppliments/ Fact Sheet for Health Professionals/Vitamin D 

https://ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminD-HealthProfessional/ 

*11 Clin Biochem Rev. 2020 Dec; 41(3): 103–126.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7731935/#:~:text=The%20conversion%20rate%20to%2025,may%20vary%20with%20nutritional%20state.&text=The%20major%20circulating%20form%20of,life%20of%202%E2%80%933%20w.

ビタミンDの摂りすぎによる副作用はある?

花粉症に必要なビタミンD量を検索すると一番に「10000IU(250μg)」がヒットしますが、私は4000IU摂取すれば充分と考えています。

 

ビタミンDは脂溶性ビタミンのため、流れ出てしまう水溶性ビタミンと違い、体内に残ります。そのため多く摂りすぎると、過剰症を起こすため注意が必要です。

 

ビタミンDはカルシウム量を上げることから、カルシウムが腎臓に沈着して腎機能が低下したり、血管を縮小させることで頭痛、吐き気、高血圧などの症状を引き起こします(*12)。

 

18歳未満の方、また高カルシウム血症の初期状態や骨粗鬆症で薬を飲まれている場合は、ビタミンDの摂取についてかかりつけの医師に相談してください。


*12 M Miyauchi et al. J Nutr Sci Vitaminol, 59, 257-263, 2013

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnsv/59/4/59_257/_article/-char/ja/

ビタミンDと一緒に摂りたいおすすめのミネラル

免疫力をアップさせるのに必須二大栄養素とされるのが「ビタミン」と「ミネラル」。花粉症改善のためにも、ビタミンDと一緒に摂りたいのがミネラルです。その中でも特に摂取して欲しい2つの必須ミネラルについて説明します。

免疫反応のバランス調整をサポートする「亜鉛」

亜鉛は体内で作られない「必須微量ミネラル」。

新陳代謝のほか、免疫反応の調整に作用しており、アレルギーに深く関わるマスト細胞を制御する役割も期待されています(*13)。

EFSA(欧州食品安全機関)では、ビタミンDと亜鉛を含む6種類のビタミンと4種類のミネラルを適量含む食品を「免疫システムの正常な機能に寄付する」と健康強調表示が認められているなど、その働きは広く知られています。

 

亜鉛を多く含む食品は牡蠣や豚レバー・牛赤身肉・カシューナッツ・卵など。

推奨される亜鉛の1日の摂取量は、成人男性10mg、成人女性8mg(妊婦は+2mg、授乳婦は+3mg)です(*14)

 

*13 New Knowledge from Past Decade: Role of Zinc in Immune System

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/68/3/68_145/_pdf

*14 厚生労働省『ミネラル』e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html

ビタミンDが体内で機能するために不可欠な「マグネシウム」

マグネシウムはビタミンD摂取時に欠かせない栄養素です。

ビタミンDが、体内で働くために、マグネシウムが必要なため、マグネシウム不足ではビタミンDがうまく働きません

ビタミンDをいくら摂っても、マグネシウムが不足しているとビタミンDが活性化できない状態になってしまいます。

さらに、マグネシウムの補充なしにビタミンDを大量摂取するとマグネシウムの枯渇状態に陥ります。

その場合、冠動脈の動脈硬化をもたらすことから、高用量のビタミンDを摂取するときには、マグネシウムの摂取は必須と考えられます(*15)。

また、喘息の治療にも使われるなど、免疫機能に欠かせない栄養素でもあります(*16)。

しかし、日本人の多くがマグネシウムも推奨されている量に達していない状態です(*17)。

玄米を食べなくなったことも要因と言われますが、和食でよく食べられる「まごわやさしい<豆・ゴマ・わかめ・野菜・魚・椎茸・イモ>」に多く含まれているので、意識して摂取しましょう。

1日の摂取量の目安は成人男性340~370mg、成人女性は270~290mgです(*9)。

 

*15 Magnesium Supplementation in Vitamin D Deficiency

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28471760/

*16 The role of magnesium in lung diseases: asthma, allergy and pulmonary hypertension

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1844555/

*17 マグネシウムを中心としたミネラル栄養に関する基礎的研究

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/72/5/72_211/_pdf

X(旧ツイッター)での花粉症改善口コミまとめ

実際に花粉症がビタミンDで改善した人はいるのでしょうか? Xでの改善例をまとめてみました。

 

(一部抜粋)

 

花粉症に対するビタミンDがぶ飲み療法だが、その後も手応えとしては「素晴らしい」としか言いようがない。たまにくしゃみ出る程度。目は「ちと痒いなぁ」とたまに気になるけど、全然無視できるレベル。

 

重度の花粉症ですが、ビタミンDのサプリだけで、くしゃみ、鼻水、目の痒み、喉の痛み全て無くなりました。1000IUなら4錠、多めに飲んでください。マスクも目薬も買わなくなりました。

 

ビタミンDは去年は2000IU(50μg)

今年は4000IU(100μg)

これで花粉症の症状が全く違う

ただ血中のビタミンD濃度を調べたわけではないので、あくまで感覚

人によって違うだろうし

ただ花粉症に悩んでいる人は試す価値はあるだろう

 

花粉症もビタミンDを摂っていたお陰か、薬を飲まなくてもなんとかなるようになりました(個人差あります)

 

花粉症の時期がやってきたけど、やっぱビタミンDはかなり体感あるな

まずは100μg(4000IU)くらいからはじめるのがおすすめ

 

鼻の中に塩化Mg(にがり)塗ったり点眼すると楽にはなるんだけど、根本的解決にはなってない。アレルギーのある人は、Mg、亜鉛、ビタミンDが常に欠乏状態にある。それらがきちんと補充できたら、来季から症状そのものが出なくなるよ!食事も気をつける!

 

マグネシウムとビタミンDと亜鉛とたんぱく質と、、栄養界隈の方々の情報を参考に摂取、食事改良、歩く意識していったら頭痛・花粉症で薬の世話になることがなくなってハッピーです

10年前の私に教えてあげたい

 

マグネシウムとビタミンDをとり始めてから、マジで花粉症は辛くなくなった

子供もそう言ってる。

 

花粉症が現れたので小麦、砂糖、珈琲を我慢

添加物などはもちろん食べない様に食事量を減らし

ビタミンDとマグネシウムを増やして

マグネシウムオイルを身体に塗った

私は2日でだいぶおさまった

まとめ

・ビタミンDは免疫力を向上させ、花粉症、アレルギー性鼻炎などの改善に役立つ

・必要なビタミンDの1日の摂取量は4000IU

・副作用の観点から10,000IUは摂取しなくて良い

・ビタミンDと一緒に「亜鉛」と「マグネシウム」なども摂取すると効果的

 

解説

薬剤師 齊藤 桂丞

薬剤師。研修認定薬剤師。コスメコンシェルジュ。
慶應義塾大学薬学部卒業 薬局薬剤師の勤務経験を活かし、現在は商品開発とマーケティングを担当。サプリメントや医薬品の豆知識を周囲に伝えるのが趣味。